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S.M.A渋谷スタジオ遮音工事▶Photo.16

写真:16枚 更新:2021/05/04 作成:2021/05/04 Osami HAMAGUCHI
■内部シェルターの架構システム
[床の構成]
防振ゴムの上に穴空きパーティクルボード20t、その上に根太45×45,45×90をビス止めし、ラーチ合板18tを敷き詰める(ホルムヘルツ共鳴箱/音響設計家薮下氏による提案)、さらに制振材4tを敷き詰めた上に無垢の檜30tを張っている。
[壁の構成]
当初は赤松の集成材30t+空気層+グラスウール(32K)50tを想定していたが、薮下氏より遮音性能が充分ではないとの指摘があり、集成材にPB12.5を裏打ちしている。構造的には30mmの赤松集成材で自立させている。
[天井の構成]
内部シェルターの天井の荷重を負担する合成梁(集成材90×90+30×280+90×90)を既存の梁・小梁に沿って4箇所渡し、それぞれの両端を集成柱90Φで支える。天井廻りの全荷重はこれらの8本の柱で支えている。各柱の下部はその分担荷重により防振ゴム(35Kg/個)の数を計算し、スパンの長い天井側の柱は15個、短い天井側の柱は11個を配置している。
合成梁間に集成材40×240@640を化粧根太として掛け、各根太上部には天井 取付材30×105を固定、天井材としては集成材20tにPB12.5を2枚裏打ちして下からビス止めしている。天井裏は壁同様空気層とグラスウール(32K)50tをコンクリートにトンボ止めし、吊りボルトは一切使用せず、完全にサウンドブリッジを絶っている。
■音響環境対策
適正な残響時間確保することは本プロジェクトにおける最重要課題の一つである。ただ、設計段階で残響時間を計算上で予測することは可能でも、実際の結果を保証することは無理である。それに、内部仕上げの一部に吸音措置(有孔ボード等の使用)を施して、適正な残響時間を目論むのも特域の周波数に歪みが生ずる恐れがありリスキーである。また、仮に充分な残響時間が得られないとすると、事後に残響時間を上げるのは、その逆と違い、とりかえしのつかない困難に直面する。ということで、内部シェルターの仕上は無垢の木材の反射版のみとし、着脱可能な吸音材(シンセファイバー)を取り付ける方式で、残響時間を自由に調整できるようにした。
また、フラッターエコーを回避するため、相対する面の壁が平行にならないよう、規格幅の集成材を突きつけ張りせず、稲妻形に縦張りして向い合わせ、その壁に直行する前室側の壁は同形の横張りとしている。
from [建築技術2018.11] [建築技術2018.12]